2015年8月12日水曜日

「サントリー 白州蒸留所」訪問レポート

 
登美の丘ワイナリーを後にし、昼食にいただいた「山梨名物 ほうとう御膳」でお腹を満たされた私たちが、次にやってきたのが白州蒸留所。ここは緑の木々と様々な野鳥の声に囲まれた、世界的に見ても珍しい森の中の蒸留所です。
花崗岩(カコウガン)層によって、約20年もの長い年月をかけて磨かれ造られる水が、ミネラルウォーターとして知られている南アルプスの天然水…その天然水工場と隣接している白州蒸留所でウイスキーが造られています。

        

かつて蒸留が行われていた工場を改修した施設で簡単な説明を受け、早速向かったのは発酵室。原料を発酵させビールのような液体を作る部屋なんですが、施設に入る前から あま~い 香りが漂っていました。
中に入るととても蒸し暑い! お世辞にも人間にとって心地の良い室温とは言えませんが、酵母にとっては発酵に不可欠な温度であり最適な空間なのだそうです。

        

木製なんです、タンクが!
ステンレスだと想像していたので、これには驚きました。写真だけ見たら日本酒の蔵見学にも見えますが、中に入っているのは元気に泡を立てるビールのような液体でした。木の桶を使うことによって、白州に居つく天然の酵母の力も借りられるのだとか。

        

次に向かったのは貯蔵庫。発酵された原料は蒸留を経て、樽の中で長い年月を過ごします。
樽は木製である為、呼吸をします。そのため水分やアルコール分が蒸気となって少しずつ樽からしみ出ていき、中のウイスキーは自然と減ってしまいます。しかしその呼吸と共に樽の香りなどを取り込みウイスキーはより熟成されていきます。
ギブアンドテイクともいえるこの現象を「天使の分け前」などと呼ぶそうです。貯蔵庫は樽から揮発されたウイスキーの香りで満たされていました。天使にわける分を少しだけ横取りしてきました。
蓋の部分がアクリルで出来ている樽は約5年程経過したものだそうです…だいぶ持っていきますね、天使。ちなみに広大な蒸留所の敷地のほとんどが貯蔵庫なのだとか。

        

最後はテイスティング!
今回は、5大ウイスキー(アイリッシュウイスキー、スコッチウイスキー、カナディアンウイスキー、アメリカンウイスキー、日本ウイスキー)の飲み比べをさせていただきました。それぞれを個別に味わう事はあっても、5大ウイスキーを一度にテイスティングできる機会はなかなかありません。
テイスティングの方法は1:1の水割りです。そうすることでウイスキーの香りや甘みが引き立ち、より明確な違いが感じられるとのこと。色・香り・味わいなどについて詳細に解説していただいたことも相まって、各ウイスキーの特徴が面白い程にわかり有意義なテイスティングを行うことができました。個人的な好みとしては…カナディアンウイスキーと日本ウイスキーがお気に入りでした。

10年以上の時間をかけなければ完成しないウイスキー…そのウイスキーを造る工程のうち人ができる事はとても僅かで、ほとんどが自然の力なのだということを改めて学びました。
水、酵母、そして人…その他すべてが重なってウイスキーを造り上げていることを肌で感じ、たまたま蒸留所を建てた場所が森だったのではなく、このウイスキーを造る為にはこの森で造らなければならなかったのだ、と思いを馳せつつ…ほろ酔い気分で帰路に就いたのでありました。

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